漫画描きウマナリが描いたり書いたり作ったり。

文房具の沼

 今回、タイトルメーカーが叩きだした数々のタイトルっぽいものから選ばれたのは『単語帳ムフフ♪』でした。なかなか無理矢理にでも書けそうなものが出てきません。小説だったら書けそうだけど、随筆にはならない惜しいものがたくさん出るので、次回からは短編小説のようなものも書こうと思いました。私の随筆と、ウチノコの随筆のような感じでしょうか。
 さて、本題ですが。
 私が単語帳とふれあいを持ったのは、中学生の頃、そして、高校生の頃でした。以降は単語帳とは無縁の生活です。
 私は単語帳が大好きでした。今も、見かけるとときめきます。ちゃんと活用してきたかというと、それは非常に怪しいといいますか……はっきり言うと、活用した事はありません。なんといっても、私は勉強が大嫌いだったのです。
 しかし、単語帳は好きでした。単語帳のみならず、文具が大好きでした。とにかく、好きでした。文具ラブです。文具屋さんに入って手ぶらで出てくる事は不可能であるというほどに、文具が好きでした。なので、単語帳を買う事はよくしました。勉強の為に単語帳が必要であるという、大義名分があるわけですから、堂々と買ってしまうのです。使われない単語帳をたくさん持っていました。他に、ルーズリーフノート、大学ノート、400字詰め原稿用紙、レポート用紙、消しゴム。紙製品と、消しゴムが特に好きだったようです。絵を描くようになると、これに鉛筆が加わりました。文具屋を見かけると必ず入り、必ず何かを買うので、消費よりも買ってくる方が断然多く、在庫がかなりダブついていました。そして、ダブついた在庫をみてはときめいていたのです。
 今なら「何をやっとんのや、使わんもんは買いなや」と自分に言えますが、その頃はなかなか自分を客観的に見ることができず、かなり長らく文具の在庫と共に暮らしていました。
 しかし、今はもう大丈夫です。文具の在庫など、あの頃の残党以外には、ありません。
 なぜ文房具の沼から脱出する事ができたのでしょうか。
 それは、私の「かく生活」に、ひとつの、しかし大きな転機があったからです。
 アナログからデジタルへ。
 これが、大きなきっかけだったのです。
 漫画を紙とペンで描いている内は、いろんな画材を扱うので、文具屋さんにあるようなものもたくさん使います。消しゴムや鉛筆、定規とは濃密なおつきあいをします。だから、文房具の沼から脱出する事はできません。かかわっているとダメです。画材を注文する時、トーンだけ注文すればいいところをなぜか消しゴムや鉛筆もついでに注文してしまうし、文具屋さんに行ったら、文具熱がまだ燃えておりますので、何かしら買ってしまいます。
 しかし、デジタルとなると……これは、非常にアッサリと、現実を目の前にさらしてくれます。すべてデジタルで描いているのです。鉛筆も消しゴムも紙製品も使いません。全く使いません。使わないといったら使いません。
 さらに言うと、ずっとデジタルで描いていると、いい塩梅についた角度でもって立っているモニタを見ながら描くわけですから、机の上に置いた紙に絵を描くのは「慣れない作業」に成り下がってしまいます。アナログ作業をしていた頃も、角度がついていた方が見やすいので、画板を使って角度をつけて描いていましたが、本格的に描くワケでもないので、画板をひっぱり出してくることもありません。
 全く文具を消費しないとなると、さすがの私も、買う事はできなくなりました。
 デジタル漫画ライフは、文房具の沼から私をひっぱり出したのです。
 デジタルでの漫画製作でも消耗品は出ますが、そんなに萌えるものでもないので、必要以上に買いためたりはしません。沼からあがってしまえば、なんだかお金がもったいないのです。……最初からお金はもったいなかったはずではありますが。
 とはいえ、やはり文具は文具です。イイです。文具の一番の魅力は、機能的であるという事でしょうか。機能性を高める為に繰り返し改良されたフォルムが、美しかったりカッコよかったりオシャレだったりする。そんなところが本当に好きです。だから、文具にときめきを感じないわけではありません。本屋さんに本を買いに行っても、まず最初に文具コーナーへ向かって一通り文具をながめてから、書架に向かうくらいです。
 でも、漫画描きをやめて文具ショップをはじめるか、鑑賞にとどめてパソコンに向かって漫画を描くかという選択となると……やはり、私は漫画を描く事を選びます。
 沼から出て数年。文房具の沼は、漫画の沼の中州にある小ぶりの沼だったんだなぁと、この頃は懐かしく思い出しています。

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